第68回アジア都市建築研究会

日本植民地期における韓国の日本人移住漁村の形成とその変容


■ 講師:朴 重信  (工学博士・京都大学)

■ 日時:2005/4/28(金) 17:00〜19:00


Abstrac
  本研究は、日本人が19世紀後半からから韓国の各地に移住し、1945年に至るまで住み着いた日本人移住漁村を対象として、移住の背景とその形成過程を考察した上で、日本人移住漁村の居住地としての集落形態とその空間構造を把握するとともに、日本人移住漁村の居住空間特性と解放後の韓国人による変容過程を明らかにすることを目的としている。焦点となるのは「日本住文化」と「韓国住文化」の2つを基軸に着目した住文化変容である。

 日本人移住漁村は、日本と地理的に近い利点と海上交通を基盤としていち早く近代的な集落として発展を遂げ、都市のような居住地が形成される。日本人移住漁村の建設は民間が主体となり、近代的産業構造を基盤として漁業の生産・流通・商業の拠点を造成・発展した。また、集落の地名までも日本式に命名したところが多く、神社が設けられ、定期的に祭りも行われた。これらの日本人移住漁村の大半は、解放(1945年)以降、韓国屈指の主要漁港または港口都市として成長・発展した経緯がある。以上のように、韓国の日本人移住漁村は近代的な集落として発展し、都市部とは異なる独自の発展過程を持っている。日本人移住漁村を研究対象としたのは、大きく2つの理由がある。
  
一つは、日本住文化と韓国の住文化が混じり込んでおり、現在も両者の特性がそれぞれみられることである。これは居住文化の地域性に関わる。二つは、集落の近代化・都市化への着目である。当時の日本人移住漁村は都市のような集落構造を持っており、道路の整備、上下水道の建設、電気の供給などが内陸の中小都市よりいち早く行われたという特徴がある。集落の都市化過程を考察するに当って非常に重要な手がかりとなると考えられる。