第34回アジア都市建築研究会
「東北アジア近代における都市空間の形成
 〜ロシア極東・中国東北地方を事例として〜


■ 講師:佐藤 洋一 (早稲田大学理工学総合研究センター)
■ 日時:1999.06.25


 ロシア極東(Russian Far East)とは、歴史的にみれば、帝政ロシアの東進と一体となった伸縮性のある概念で、それが意味する地理的範囲は多様である。今でも、中国東北地方(Manchuria)をその範囲に含め、特にハルビンはロシアが形作った都市だと見なしているロシア人も少なくないように思われる。一方で帝政時代のウラジオストクをはじめとするロシア極東諸都市では、中国人商人が市場を牛耳っており、彼らが都市の経済活動を支えていたという事実がある。こうした中国(人)とロシア(人)との関係を念頭におき、都市骨格の形成と流入者との関連を踏まえて、19世紀半ば以降の帝政ロシアの植民都市(ブラゴベシチェンスク、ハバロフスク、ウラジオストク、ハルビン、大連を予定)における都市形成を概観する。次に各都市内から数地区を選んで現況を紹介し、その空間特性を示して、空間形成の主体と都市間相互の関連について考えてみる。
 とはいうものの、東南アジアに比べ、東北アジアの都市・建築をとりあげる研究は驚くほど少なく、ましてロシア極東を扱う研究は、これまで片手で数えるほどしかないというまことにお寒い状況にあることを考えると、今回の講師に課せられた最大の目的は、北の隣国の諸都市を様々な角度から紹介することを通じて、研究の普及と啓蒙を図ることでもありそうである。これまでに現地で遭遇した色々な出来事も随時織り交ぜつつレクチュアを進めていきたい。」