第16回アジア都市建築研究会
京都の都市空間と地蔵」


■ 講師:竹内 泰三菱地所)
■ 日時:1996.12.20


 都市は、政治、経済、宗教、文化など、あらゆる諸相の集積である。そこで、問題となるのは、都市に対する視点をどこに据えるかである。今回は宗教という領域において現れる聖所つまり地蔵に着目して京都の都市空間の読み解く。宗教は、社会規範の維持という点から、人間の生活空間から切り離すことはできない。また、宗教は個人を越え、全体を統合し、共通の価値をもたらす。聖所そしてそこに現れる聖祠は、共通の習俗として、或いは記憶として永続する。他方、都市は個人の自覚を以て、成立する場所とも言える。つまり、都市は、個人の集住する場所であり、そこでは、宗教の果たす役割も変化する。そして、聖祠の配置に関しても、個人の意志が大きく左右することになる。共同体と個人という二相が混在する都市において、このはざまに聖祠は現れる。その時々において、そのはざまを揺れ動きながら聖祠は都市の中に配置される。そして配置されると同時に、聖祠は都市空間を規定し、維持する。 聖祠の配置を分析し、その都市空間形成に果たした役割を明らかにするすることによって、聖祠の何が、都市空間を生きたものに変貌させたかが分かる。